興味深い記事が日経にあったのでご紹介します。筆者は営業マンのため非常に参考になりました!
ポイント①『知の共有』
1人あたりの営業利益は驚きの4800万円、成功再現を追求し、秘訣の独占を禁止している。(給料が高いのが頷けますね。。。) それでは記事の抜粋です。
キーエンスが生産性を高めている。QUICKによると2022年3月期は従業員1人あたりの営業利益が前の期比46%増の4821万円と過去最高を更新した。単体の平均年収も前の期比約400万円増え、成長の果実を分け合う。成果を上げる方法など、個人が秘密にしたい情報もさらして組織の力を高める「知の共有」に秘訣がある。
日経新聞より
キーエンスの営業担当者は以下の通り翌日の顧客訪問の目的を明確にしています。
- 商品購入してもらうための訪問
- 購入のタイミングを知るための訪問
- 相手先のキーマンを探すための訪問
また、自分の頭の中で考えるだけではないこともポイントです。例えば、「外出報告書」に明記して上司からアドバイスを受けたり、顧客のキーマンを把握したうえで会話の流れまでシミュレーションをしています。
外出報告書は、担当者が1日の顧客回りを終えて帰社するとその日の行動も分刻みで書くようです。商談した顧客のニーズ、実機を使ったデモンストレーションの有無、それに対する反応を記録しています。
担当者は週3~4日を外回りに充て、1日あたり5~10件を訪問しています。報告書自体は他の企業にもあるものの、単なる連絡にとどまるのが一般的です。(うちの会社でもそうですね。。。)キーエンスはつぶさに情報を吸い上げ、PDCA(計画・実行・評価・改善)を1日ごとに回しています。
ポイント②行動目的が明確
ある幹部は「社員一人ひとりが行動の目的を意識し、会社として最大限の付加価値を生み出すために何をすべきか常に考えながら動く」と語る。
日経新聞より
「SFA」と呼ばれる営業支援システムにも同様の内容を入力することで、担当者の間でデータを共有しています。OBは「担当者ごとに顧客訪問や商談の件数、顧客企業のキーマンにどれだけアクセスしたか数値化したフォロー率などが確認できる。客観的に何が課題なのか分かる」と明かしています。
Question:ここまでガラス張りにするのはなぜか。
Answer:属人的や偶発的な成功より、成功を再現できる仕事の仕方を重視するから。「個人、事業部、全社の最適な施策が生産性を上げ付加価値を高める」(幹部)との信念があるから。このため営業成績が優秀でも、情報を囲い込む人は評価しない。
日経新聞より
営業と開発の部門間の情報共有も特徴的である。
営業の拠点は世界各国にある一方、開発は大阪府2カ所と東京都の計3カ所しかない。開発部門には毎月、各国の営業部門から数千枚に上る「ニーズカード」が届く。カードには営業担当者が顧客から聞き取った問題や要望が書いてある。開発部門はカードの内容を基に、新製品をつくる。
営業担当の顧客訪問に開発担当が同行する企業は多いです。(うちの会社もそうですね。。。笑)ところがキーエンスではほぼない。それぞれの部門がそれぞれの仕事に集中する分業体制の方が、無駄な仕事が省け効率が高いと考えているからです。
普通なら時間のロスが生まれる。「キーエンスは付加価値を最大限に引き出す考えが全社に浸透しており同じ方向性で取り組める」とみる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小宮知希氏
ポイント③ノウハウ細かに
人材育成でも情報共有を重視します。営業の研修用テキストにはノウハウを事細かに記載するようです。OBらによると電話でアポを取る時間や顧客のキーマンを見つけるための組織図づくりといったツボを惜しみなく伝授します。
米国など海外拠点の営業担当には、職場や入社年次が近い人の商談の成功例を教えます。一部の「できる人」に頼るだけでは組織としての生産性は上がらないからです。大事なのは「ノウハウ」でそれを広げる必要があることをキーエンスは分かっています。
こうした積み重ねの結果、キーエンスの22年3月期の売上高営業利益率は55%と製造業で群を抜いています。QUICKによると連結営業利益を従業員数で割った同社の労働生産性は、競合するオムロン(311万円)の15倍、ファナック(2164万円)の2.2倍に上ります。
さらに22年3月期の平均年間給与は2182万円と過去最高を更新しています。白シャツ着用、接待禁止など、合理性を突き詰める企業文化からは冷たい印象も受けますが、個人に対してむやみに結果を求めるのではない。合理的に結果を出せる仕組みを手当てしている。多額の報酬はその成果物でしょう。
以上、参考になれば嬉しいです。
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