日本では「労働が美徳」「苦労は尊いもの」という文化がまだまだ残っています。
今回は、ビジネスのシーン、特に生産性を考えるべき時には、結論、長時間労働や労働に対する苦労や「頑張った」ということは無意味なものになってしまうということを解説していきます。
はじめに
まず大前提として断っておきたいのが、この記事では「労働に対して自分を犠牲にすること」や「労働を尊いと思うこと」それ自体は何ら悪でもなく、賞賛されるべきことだと考えています。
ですが、ビジネスの生産性を高める上で、特に個人レベルの付加価値を作っていく上では「頑張った」ということそれ自体は無意味だと考えたほうが良いと考えています。
「労働は美徳」が広まった理由
「労働は美徳」「苦労は美徳」という雰囲気はなぜここまで広がったのでしょうか。
いろいろな要因があると思いますが、個人的には戦後の高度経済成長期における日本の発展を支えた先人たちの成功体験によるものだと思います。
先人たちのおかげで欧米各国からの信頼を勝ち取り、空前絶後の経済成長を遂げました。
その結果、経済成長ができたので取るべき道だったのかもしれません。しかし現在は全く違います。
現在でもその考えが残存する理由
バブル崩壊以降は、単純な労働や苦労を評価していては諸外国の企業と張り合うことができません。
今では働き方改革が叫ばれていますが、変わらず「定時では帰りづらい」などの声はよく聞きますし、完全になくなったとは言い切れないと思います。
理由としては、これも個人的な考えですが、「労働は美徳」で成功体験を得た人材が企業の上に上り詰め、企業の制度設計や文化を作るマネジメントサイドに回ることで、いまだにこういった考えが残存しているものだと思っています。
要は、『「労働は美徳」というのは、過去の環境においては非常に有用な手段ではあったものの、現在の環境には合っておらず、「頑張った」ことを過大に評価するケースが多い』ということです。
本来評価されるべきなのは、企業の価値を大きくし、競合とも戦っていくための「価値」の部分です。
企業における「価値」とは、企業の本来の目的に少しでも近づくために貢献をすることです。
営業などの部署では、顧客の経験価値を高め売り上げを上げること、システム運用などの部署では安定的にシステムを保守運用していくことが求められます。
皆さんは自分が「苦労の量よりも価値が大事だ」と完全に100%の気持ちで思えているしょうか。また、環境、自部署や自分のオフィス、自分の会社の雰囲気にのまれていないでしょうか。
ここからは、価値に重きを置き、それに沿って行動していく方法を解説していきます。
ちなみに、価値よりも労働時間や苦労や「頑張った度」のようなものを重視している方は、今すぐ脳みそをアップデートした方が良いです。理由は単純で、その考え方は市場価値が低い人材になってしまう可能性が高いからです。
価値に重きを置き、行動する方法
まずは皆さんが任されている責務に対する考えを見直すことからはじめましょう。
ここでは、「何故自分はこれを任されているのか」ということを意識しましょう。
これは、他の記事でもよく言っている「作業者マインドはやめよう」という話にも近いところではあるのですが、「なぜそれをやるのか」つまり「任されたタスクをこなす」という発想から、「任された目的を達成する」という考え方にシフトしましょう。
具体例でお話しすると、ある担当者に「部屋をきれいにする」という目的を課されていて、その部署では伝統的に「ほうきではいて、水拭きする」というやり方で掃除がされていたとします。
現在はルンバのような自動掃除機があるので、例えばルンバを回している間にほうきと水拭きでは掃除できない個所を掃除することが可能です。
ですが、仮にこの担当者がルンバの存在を知っていて、ルンバを買うための費用や電気代などのランニングコストがゼロだとしても、これまでと同じように「ほうきではいて、水拭きする」という前例主義的に過去の「苦労をする」という選択肢を取る人はとても多くいます。
これにはいくつかの要因があると思っています。
例えば
・上司に進言/提案しにくい
・今のままでもできているという発想
・サボっている、楽をしようとしてると思われたくない
といったようなものです。これは、まさに組織に「労働が美徳」が蔓延している例です。
「目的」=「部屋をきれいにする」ことに目を向けるようにしてください。
そう考えると、どう考えてもルンバ導入しかないです。
上司へ伝え方のポイント
目的をより効率的に達成し、組織にとって良いことをしようという発想からくる行動です。進言しましょう!
ですが少しだけ工夫し、言い方には気をつけましょう。
伝え方のポイントは、「相手のメリットを伝える」ということです。
この掃除の場合で行くと、「やり方を変えることでもっときれいになる」ということを中心にストーリーを展開していきましょう。
また、留意点を2点あげておくと、
・変えることによるデメリットも伝える
⇒ ここでは費用の話
・自分の案が正しいわけではないということを理解する
⇒ 上司がもっといい策を持っているかもしれませんし、あえてそのやり方をしている可能性もある。柔軟に対応しましょう。
伝えた時に明確な理由なく、もしくは前例主義的な目的でやり方を変えることを止めてしまう場合は、もう一つ上の立場の方か他部署の上の役職の方に相談しましょう。
実際に変更するのは直の上司なので、それを理由に渋っている場合は単なる利害関係からくる拒否なので外から攻めましょう。
ですが、ここでも留意していただきたいのは、あくまで目的は、やり方をより効率的に変えることです。上司のことをチクることではありません。
もし、万が一、それでも組織が変わらない場合は、正直転職をお勧めします。とにかく価値に重きを置き、今の自分の業務の目的を考えて行動しましょう。
まとめ
この記事でお伝えした内容は、ある種現在の企業にはびこる病だとも思っています。価値ベースの考え方に変え、そしてそのような考え方のもとで働きやすい環境を作る、もしくは見つけていきましょう。
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