【健康に関する話】「老化」知らぬカメの一群〜生物の宿命ではない!?〜

健康
スポンサーリンク

今回は面白い記事を見つけたのでご紹介します。長寿命化に繋がるヒントがあるかもしれないですね。科学の進歩に期待です!

私たちは年を重ねるにつれて老いていく。それは自然の摂理で、生物の宿命ともいえる。ところが、その運命から逃れ、老化とはほとんど縁の無いカメの一群が見つかった。生物の新たな側面に光を当てる発見に、生き物好きの間ではカメの話題で持ちきりだ。

日経新聞から抜粋

「人間には無理でも、カメならできる」と研究成果を発表した南デンマーク大学のサイト

「人間には無理でも、カメならできる……」。南デンマーク大学は6月の米科学誌に載った分析結果をこんな表現で伝えたようです。新発見をもたらしたのは、世界から1200以上の動物園や水族館が関わる非営利組織「スピーシーズ360」が管理する飼育記録。

同大学のチームと同組織が調べると、生活環境が整うリクガメなど52種の75%で、老化が極めて緩やかか、無視できる状態だったとのことです。

私たちのような生物の常識では、年をとると肉体は衰え、いずれは死ぬ。加齢に伴って死亡のリスク(死にやすさ)はぐんと高まります。ネズミ(マウス)のような生物でも同じだ。こうした過程を老化と考えれば、生物には加齢(老化)に伴って生涯を終える一定の法則があると統計上はみなせる。

 この法則に従う生き方こそが生物を生物たらしめていると考える人々にとっては「老いを知らないカメ」の発見はにわかに信じがたい。だがスピーシーズ360の一員で同大准教授のフェルナンド・コルチェロ博士は、一部のカメはこの法則が成り立たないと即答する。カメでも加齢で死亡リスクは上がるようだが、極めて遅くて傾向がつかみにくい。「特定の年齢間隔でみると死ぬ割合は同じ」。事実上、老化はないのだ。

日経新聞から抜粋
日経新聞から抜粋

一般の生物は大人になると成長をやめていきます。繁殖にエネルギーを注ぐためです。それと引き換えに体内で傷んだ細胞の修復作業がおろそかになり、老化が進んでいきます。カメは成熟しても成長が止まらない。細胞の修復機能も維持しているおり、だから老化現象が表れない。

コルチェロ博士は「この研究が老化の生理学に取り組む研究者を刺激し、カメとヒトの違いを明らかにできることを願っている」と語っています。加齢現象を研究する東京大学医科学研究所の中西真教授は今回の発見の意義を「老化が全ての生物で必ず起きる必須の現象ではないという新たな可能性を示した」と評しています。

カメとヒトは全く違うが、新発見に対して「カメは特別」という冷めた見方は感じません。その理由に、過去に見つかった「老化しない哺乳類」の存在があります。アフリカにすむハダカデバネズミも米国の研究で死亡率が一定だといわれています。

発端は2018年に出た論文です。米グーグルを傘下に持つアルファベットが設立に関わった研究企業「キャリコ・ライフ・サイエンシズ」のチームがマウスの10倍にあたる30年近く生きるハダカデバネズミの死にやすさを分析しています。ヒトやマウスは加齢と死亡リスクの法則から老化が見て取れる。ハダカデバネズミは高齢でも死亡リスクが上がらず、法則に逆らっていました。

21年には東大の中西教授らが、老いたマウスから肉体の衰えにつながる「老化細胞」を取り除く実験に成功したと米科学誌に発表しています。後戻りできないとされた老化の段階から若い状態に戻せた成果に「老いは克服できる」と衝撃が走りました。

老化をしないで年をとる世界とはどんなものなのか。ヒトでは老いが年齢や生きざまと結びつき、その人らしさを形づくっています。年齢と老いの関係が絶たれたら年齢は出生からの経過を示す「数字」と化すだけです。

カメも永遠に生き続けるわけではない。敵の攻撃やケガ、病気に見舞われたら命を落とす。老化を回避できるようになった以上、早死にしたら元も子もない。身を守る大きな甲羅を携え、跳び回らない生き方を選んだのは不測の事態を避けるために違いない。老化という予期できる死を免れたカメの世界も、生きる苦労は多いのかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました