夜寝る前のひととき、就学前の子供に絵本の読み聞かせをしている家庭も多いと思います。子供が楽しく思考力などを磨ける読み聞かせの方法について、面白い記事がありましたので紹介します。
日本と米国の読み聞かせに関する考え方の違い
米ハーバード大で読み聞かせに関して日米の比較調査をしたことがある。それによると日本の親が子供とのコミュニケーション、情操教育などのために絵本を読み聞かせしている傾向があるのに対し、米国の親は語彙の獲得や思考力、伝える力の獲得、リーディングスキルの発達など、教育目的で読み聞かせをすることが多かった。
日本でも「自分で考える」「自分の考えを述べる」学びが重視され始めているが、米国では幼い頃からそうした力を養うために絵本が活用されている。自分で考える力(=思考力)や自分の考えを述べる力(=伝える力)など学びの力を伸ばす読み聞かせは、日本の家庭でも十分実践が可能だ。
米国式読み聞かせ(ダイアロジック・リーディング)とは!?
教育を目的とした米国式読み聞かせの特徴は、読み聞かせの最中に、親子で活発に対話をすること。途中で大人が質問を投げかけ、子供は絵本を見ながら自分で考え、言葉にまとめて発する。この一連の流れを楽しみながら繰り返すことで、思考力や伝える力が磨かれていく。
この対話を中心とした読み聞かせは、米国の研究者が考案したもので、「ダイアロジック・リーディング」と呼ばれている。具体的な流れは次のとおりだ。
(1)「森の中に誰かがいるね」「この動物は何?」などと子供に質問し、発話をうながす。
(2)「うさぎさんがいるね」「よく分かったね」など子供の発言を評価する。相づちを打つ、褒めるなどして、否定的な発言はしない。
(3)「白いうさぎさんだね」など、子供の発言を拡張する。「うさぎさんのほかにも誰かいる?」など、子供の言葉や質問を繰り返す。「動物園でもうさぎさんを見たね」などと情報を足す、話を広げる。
(4)「そうだね。うさぎさんとカメさんがいるね」など、反復して子供の理解をうながす。
こうした対話は「1ページに必ず1回」などと厳密に守る必要はなく、最初は2~3ページに1回でも、子供が興味を示した所で行っても構わない。いつも同じ絵本でも質問内容を変えることによって、何回でも活用できる。
この4つの流れが難しい、慣れないという場合は「いつ」「どこで」「何を」という、5W1Hの質問を心がけるといいだろう。例えば「この動物は何?」と聞くことで「うさぎ」という語彙が増える。「何色?」「何をしているのかな?」と問えば思考力や読解力が深まるし、「〇〇ちゃんはどう思った?」と聞いて自由に話をさせることで表現力が高まる。読み聞かせの最中に対話をすることで、思考力や伝える力、それから読解力や語彙力をも養うことができる。
とはいえ、既に普通の読み聞かせに慣れている子供は、読み聞かせの最中に対話をすることに戸惑うかもしれない。1回目は普通に読み、2回目は「〇〇ちゃんはどう思った?」と1冊につき1つだけ質問して、少しずつ慣らしていこう。
読み聞かせる本は、子供が好きなジャンルから選ぶのがベスト。親としてはより教育的な絵本を選びたくなるが、子供がイヤイヤ読んでいるのであれば本末転倒。絵本でなくとも、動物図鑑や恐竜図鑑でもよい。
迷ったときは書店や図書館に親子で行くこともお勧めだ。実際に子供が手に取った本であれば、楽しんで読めるだろう。また可能なら母親、父親共に読み聞かせをするとよい。それぞれ違う傾向の質問を投げかけることで、子供が受ける刺激も違ってくる。
真面目な人ほど「何分間読むべきか」と時間を気にするが、時間よりも大切なことは「習慣化」だ。例えば保育園から帰ってきたら、夜寝る前、などと決めておくと、子供は楽しみにその時間を待つようになる。
参考
子育て×読書についてこれまでにもいくつか記事をあげてますので、併せて読んでいただけると幸いです。
①3歳からのイソップ物語
②1日30分、子供が読みたい本を読んであげる
③絵本から始める「読む力」育て
④知能アップに大切な「読む力」と「巧緻性
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